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アスパラガスは専門用語?

「英単語を一万も覚えたら、ほとんどの英文を読めるようになるのでは?」と、一万という数字のインパクトに惑わされて、私たちは思ってしまいがちですが、それは半分ほど正しくて、半分ほど間違っています。正しさについては、JACET8000の数字「97.3%」に委ねるとして、間違っている点については、次のような単語がJACET8000やSVL12000に含まれていないことで明らかになると考えます。

  • アスパラガス(Asparagus)
  • トライアスロン(Triathlon)
  • コラーゲン(Collagen)

アスパラガスもトライアスロンもコラーゲンも、一般的な日本人ならば普通に知っている言葉です。日常それほど頻繁に耳にするわけではないものの、専門用語のたぐいではありません。

さてここで「一万語の英単語って、その程度なんだ……」とガッカリする必要はないです。ボキャブラリーが一万もあれば基礎的なところはほぼ完璧なので、あとは分野を絞って単語を覚えたらいいだけだからです。料理に興味があるなら、早い段階でアスパラガスやそれに類した単語に出会うでしょうし、スポーツであればトライアスロンに、美容であればコラーゲンにやはり早い段階で出会うでしょう。

逆に分野を絞っていなければ、そのような単語に出会う時期はとても遅くなるでしょう(ネイティブ全般の使用頻度順に単語を覚えた場合、途中から非常に効率が悪くなるというのは、自分の興味関心とは無関係な分野の単語を、多く暗記する羽目になるからです。そして「英語を身に付けるには、少なくとも三万語は必要」といった言葉は、効率の悪いボキャビルを選択してしまった場合のものだと思います)。

英単語を何から何まで覚えようとすると大変ですが、一万位外のものについては自身に関係ありそうな場合にだけ覚えるようにすると、有益ですし効率的です。ここで挙げたアスパラガス、トライアスロン、コラーゲンの例は、単語を覚える時の目安にもなるかと思います。すなわち、トマトやポテトといった単語は一万語に入っていますが、アスパラガスは入っていません。同様に、テニスやフットボール、あるいはダイエットやエクササイズは一万位内に入っていますが、トライアスロン、コラーゲンはそこに含まれていません。

ボキャビルにおける「専門用語」ないし「特殊用語」が、ある程度イメージできてくるのではないでしょうか。実はこの見分けができる、できないで、未知の英単語との付き合い方がグッと楽になります。自分に無関係そうな分野の単語は、無理に覚えなくてもすませられるようになるからです(もちろん覚えるにこしたことはないのですが、単にツールとして英語を使いたい場合には、その辺の労力を省いても問題ないと考えます。それよりはリラックスした態度で英語と向き合うことの方がよほど重要でしょう)。

column7

受験英語やTOEICについて

当サイトは、受験やTOEIC対策向けに作られていません。しかし実際に役立つ単語力を効率よく身につけられるので、間接的には役立つでしょう。

ちなみに世間での評判が芳しくない受験英語ですが、コーパスが一般化する前から存在していたにもかかわらず、重要な単語をうまくカバーしているので、英単語の使用頻度順といった観点からすると、素晴らしくよくできていると思います。大学受験レベルの英単語については、最難関校クラスであっても、(使える英語という視点からすると)基礎のところに位置するので、絶対に覚えて損はありません。

TOEICもまた様々な批判に晒されることが多いですが、試験自体についてはよく出来ていると思います。というかTOEICにはまったく罪はなくて、TOEIC至上主義や試験テクニック先行型の参考書などに問題があると考えます。なぜならそういったものは、「実際に使える英語をモノにできているか?」という本質とは無関係だからです。

ただTOEICの場合、若干「専門用語」が多い印象があります。「日常の会話で使うかなあ……?」といった単語の比重が高めなので。例えば、「上院議員」や「陪審」を交えた会話って、なかなかイメージできません(新聞の政治面や社会面を熟読する人が相手なら別ですが)。しかし力試しにTOEICを活用するのは、全然アリだと思います。