ネイティブも学習する

語学学習に終わりはない、とはよく聞くフレーズですが、実はネイティブも母国語を学び続けています。日本語の場合でもそうです。

たとえば、年末に新語、流行語の類いがリスト化されますが、そのすべてを知っている人はそう多くないでしょう。私たちはそこで気になる言葉があれば、さっと目を通して記憶します。しかし母国語なので、学ぶという意識はあまりありません。たいていはスッと頭に入ります。けれども学習していることに変わりはないのです。

また、何も年末にだけ私たちは新しい言葉を覚えているわけではありません。普段から私たちは新しい言葉を覚え続けているのです。ほとんどはまったく無意識のうちに。たとえば、週刊誌の見出しに踊る奇妙なフレーズや、新しい技術や制度の記事に使われている特殊な用語を、知らず知らずのうちに学習しています。そうすることで私たちはネイティブとして生活できています。少しでもこの学習をサボってしまうと、ネイティブすらネイティブではなくなってしまいます。

なぜなら日々あたらしい用語が生まれてきているので、それらをうまく消化できていないと、母国語から取り残されてしまうからです。十年前の新聞と今の新聞をイメージしてみて、それからさらに十年後の新聞をイメージしてみてください。いきなり十年後にタイムスリップしたら、きっとあなたは記事をスラスラと読むことができなくなっているはずです。未知の出来事や風潮、技術、制度などが誕生し、それらに付随する言葉やニュアンスがうまく読み解けないだろうからです。ネットスラングの場合にはより顕著でしょう。

このようにネイティブさえ日々あたらしい言葉を学んでいるのですから、外国語を学ぶ場合にはより一層のトレーニングが欠かせない、と言えるでしょう。